岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の感想


単行本入手

職場の方に頂いたので、読んでみた。

感想

これがドラッカー関係なかったら、ただのご都合主義の物語に感動要素を盛り込んだ小説です。

小難しそうな『マネジメント』を盛り込んでいるので、『マネジメント』を盛り込んでいるにもかかわらずそれなりにエンタメ性のある物語になっていると思えます。

マネジメント

マネージャーとは管理や経営をする人―つまりマネージメントをする人。

マネージャーの資質は真摯さ。

組織の定義づけ。
「われわれの事業は何か」

「顧客は誰か」

「顧客は何を買いたいか」

「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」

「働くこと人たちに成果をあげさせる」

成長には準備が必要である。いつ機会が訪れるかは予測できない。準備しておかなければならない。準備できていなければ、機会は去り、他所へ行く。

「人は最大の資産である」

消費者運動が企業に要求しているものこそ、まさにマーケティングである。それは、企業に対し、顧客の欲求、現実、価値からスタートせよと要求する。企業の目的は欲求の満足である定義せよと要求する。収入の基盤を顧客への貢献に置けと要求する。

仕事を生産的なものにするには、四つのものが必要である。
①分析である。仕事に必要な作業と手順と道具を知らなければならない。
②総合である。作業を集めプロセスとして編成しなければならない。
③管理である。仕事のプロセスのなかに、方向づけ、質と量、基準と例外についての管理手段を組み込まなければならない。
④道具である。

働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。

イノベーションとは、科学や技術そのものではなく、価値である。組織のなかではなく、組織の外にもたらす変化である。イノベーションの尺度は、外の世界への影響である。

イノベーションを行う組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる。

マネジメントの3つの役割
自らの組織に特有の使命を果たす。
仕事を通じて働く人たちを生かす。
自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。

人は、優れているほど多くの間違いをおかす。優れているほど新しいこと試みる。

真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。

規模は戦略に影響を及ぼす。逆に戦略も規模に影響を及ぼす。

マネージャーたるものは、上は社長から下は職長や事務主任にいたるまで、明確な目標を必要とする。

集中の目標と市場地位の目標。集中の目標は、基本中の基本というべき重大な意思決定である。

成果こそ、すべての活動の目的である。

成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意思決定こそ、最大の管理手段であることを認識する必要がある。

あらすじ

公立高校野球部のマネージャーみなみは、ふとしたことでドラッカーの経営書『マネジメント』に出会います。はじめは難しさにとまどうのですが、野球部を強くするのにドラッガーが役立つことに気付きます。

みなみと親友の夕紀、そして野球部の仲間たちが、ドラッカーの教えをもとに力を合わせて甲子園を目指す青春物語。

ネタバレ感想

親友の野球部マネージャーが病気で長期離脱することになり、野球部のマネージャーをすることになったみなみ。マネージャーは何をするをのか考えていたら、ドラッカーの「マネジメント」という本に出会う。その本を参考にやる気のない野球部の改革に乗り出し、甲子園出場を目指す。決勝戦前日に親友の野球部マネージャーが亡くなり、ショックを受けつつも無事に甲子園出場を果たす。

なんでみなみは親友が長期離脱するからってマネージャーになったんだっけ。何か後ろめたいことがあったような気がする。。。

途中高校の問題児をマネージャーとして増やすんだけど、問題児がマネージャーなんてやるかね。

親友が死ぬ要素がなかったので、最初退院するからみんな呼ばれたのかと思ったら、間もなく最期になるからってことでびっくり。

終盤親友が亡くなってから、みなみが荒れるんだけど、荒れすぎてちょっと違和感。荒れたからって常人がそんなに言葉遣い変わりはしないでしょ。荒れてるからって「死ぬ」って言葉が普通に出てくるものなのかなーってところ。感覚的に人に対して「死ぬ」って言葉は使えないと思うんだけど、高校生なら使うかなーどうかなー。